講談社文庫 浅田次郎 著
浅田次郎の小説を読みたくなり本屋へ行く。著者別の棚で浅田次郎作品を物色するが、ほとんど読んだ作品ばかりで、厚みのある「おもかげ」を手に取り惰性で買ってしまった。
雪の降る東京。地下鉄丸の内線新中野駅でエリート商社マン「竹脇正一」は電車で倒れた。六十五歳で定年をし、四日後の送別会の帰りだった。
彼が運ばれた病院へ、妻・同僚・婿・友人・娘たちが駆けつけるが意識はない。でも正一は心の中みんなが来ている事はわかっているようだ。
孤児として施設で育ち、辛い過去を持つ正一は、次々に生い立ちを心の中で追いかけて行く。ちょっと暗い小説で気が滅入ったが、昭和26年生まれの正一と自分を重ねてしまった。