双葉文庫 井原忠政 著
会社帰りに赤羽駅内にある本屋の前を通ると、「小牧長久手仁義」の文字に少し変わったイラストの文庫の表紙が見えたので立ち止まる。
あれ!3ヶ月も本屋へ寄っていないので、このシリーズも発売してもおかしくないと、慌てて購入する。しかし、自宅へ帰って確認すると5巻まであるが、今回買ったのは8巻であった。
翌日、家から近いツタヤへ行って、6・7巻を購入する。昨日多摩センターへの研修の往復で6巻を読み終えた。
茂兵衛は高根城の勤務を4年ぶりに解かれて、浜松城の我が家に帰ってきた。預かる部隊は鉄砲50丁、それを守る護衛の槍足軽40人、小頭9人、寄騎3人の100人を超える大将となった。
今度の仕事は武田軍の南の拠点である高天神城を攻めるために出撃する。前もって難攻不落の高天神城を攻略するために、家康は包囲網を敷き食糧などの補給路を完全に絶っていた。
補給を断たれた高天神城は降伏の意思を示すが家康は信長の命令でこれを許可しないため、城兵たちが深夜に打って出る。激戦の末に徳川軍は殲滅してしまった。
天正10年2月に浜松で茂兵衛の妻:寿美が女児を出産。この2月に信長は武田討伐の軍令を出し、家康も武田領へ出陣することになる。
茂兵衛部隊は、織田・徳川側に寝返った武田家二十四将の一人ある穴山梅雪の寄旗して駿河の江尻城へ入る。まずは、梅雪の妻と長男が人質として囚われている穴山氏館へ行き奪還に成功した。ここで梅雪の妻の待女をしていた綾女と10数年ぶりに再会する。
いよいよ本格的に織田軍の甲斐征伐が始まり、信長の長男織田信忠が武田勝頼が住む甲府躑躅ヶ崎の城館へ進軍した。これと連動して家康軍も甲斐へ進軍し始める。
穴山梅雪軍は徳川軍の先鋒として出陣するので、寄騎の茂兵衛部隊もこれに同行し、梅雪の叔父である城主一条信龍の上野城を攻めることになる。
梅雪はの叔父である一条信龍に投降を進めるが信龍はこれを拒否して激戦となる。先鋒寄旗として参戦している茂兵衛軍も激しい戦いとなっていた。
茂兵衛自身も槍を携えて参戦するが背後から槍で突かれる。突いたのは何と信龍であった。お互いに組討となって茂兵衛に危機が迫るが・・従僕(茂兵衛が抱える家臣)の伍助の助太刀で危機を脱して信龍を倒す。
上野城を攻略したが、すでに勝頼は織田の武将である滝川一益軍に打ち取られていた。遅参したお詫びに梅雪と茂兵衛は織田信忠に会いに行くと、信忠は上野城攻略で茂兵衛の鉄砲豚が大活躍したのと、信龍を一騎討ちで倒した茂兵衛に好意を寄せていた。
信長の宿願であった甲斐を攻略し、ほぼ天下を手にしたも同然の信長は、御礼に家康と梅雪を竣工したばかりの安土城へ招く、茂兵衛は梅雪の供をして同行することになった。
京都へも招かれが、茂兵衛は信忠の頼みで信忠軍の鉄砲部隊の訓練を行なっていた。信忠が京都での宿舎は二条新御所で寝ていると・・南西の本能寺方面から煙が見えて明智光秀の謀反と判明した。信長の消息は不明。茂兵衛はこちらも迫らる戦支度を始めるが、信忠から堺にいる家康にこのこと知らせるよう命令される。
二条新御所を抜け出し堺を目指していると・・先立ちしていた本田忠勝平八郎と再会したのだ。これからどうする茂兵衛〜。次巻に続く。
無我夢中で戦ってきた茂兵衛だったが徳川家も大きくなり、部下も増え、家族をも持ち、取り巻く環境に変化が出てきた。悩みも敵をどう倒すかだけでは済まず、家康や上役に神経を使い、部下の管理に悩む中間管理職。目指す1000石取りに成れるかな。