双葉文庫 井原忠政 著
前巻の帯には2023年3月「侍大将仁義」発売予定!と出ていたが・・TUTAYA新刊コーナーにあったのは「百人組頭仁義」???。新刊に挟んである戦国心得に第11巻書名変更についてに言い訳が出ていた。どうも双葉文庫の担当が先走りをしたように思われる。もしくは11巻目が思っていたよりページ数は増えて、急遽変更したかもしれない。まぁタイトルは気にならない。
侍大将の内示があり茂兵衛の妻・寿美は大喜びで準備を始めて陣羽織を新調し小馬印の発注していたが・・・。百姓上がりの茂兵衛をよく思わない生え抜き達から横槍が入る。家康も彼らに逆らう訳にはいかなくて組頭となった。
それでも鉄砲百丁部隊百人・槍弓部隊五十人・小荷駄部隊百五十人の総勢三百人大部隊を率いることになる。一番嬉しいのは家康の馬廻から現場へ出れる事だった。新人も多くこの教育で訓練に忙しい日々を過ごしていた。筆頭寄騎は横山左馬之助、次席寄騎・辰蔵、新たに弟・丑松の長男・小六を寄騎としている。
秀吉は九州・島津征伐を終えて、いよいよ関東・東北へ向かうのは間違いなく、家康は北条・伊達と組み秀吉に戦いを挑むか、それとも秀吉に協力するか、家中で揉めていた。家康は秀吉に協力することを決定し、まづは、北条といがみ合っている真田との関係修復するのために、真田源三郎信之に本田忠勝の娘・於稲を嫁にやることする。
この於稲を上田城まで届ける任務を受けて小諸城へ向かう。この途中に綾女の墓参りを済ませている。無事嫁入りも済ませるが家康から小諸城へ留まるようにと家康から指示が入る。
秀吉の命令で北条が望んでいた沼田城を真田が引き渡しこれで関東も落ち着くと思われたが、秀吉を甘く見ている北条は真田領の名胡桃城に手を掛ける。名胡桃城城代の鈴木主水へ、主水の妻の弟である中山九兵衛が主水へ偽の手紙を持参して、主水を城外おびき出した隙に名胡桃城を乗っ取ってしまったのだ。
この件で主水夫婦が自害し、一子・小太郎が残された。本書とは関係はないがこの小太郎はのち浪人にし柳生で修行後に源三郎に仕える。
真田昌幸から茂兵衛へ名胡桃城奪還の協力要請を受けて名胡桃城へ向かう。城門前で交渉を行うが・・・・・「ダァーン!」鉄炮玉が茂兵衛の左胸に当たる。これで2回目。ここで終わるのか・・でも茂兵衛は生きていたのだ。新調した陣羽織の左に大きな穴があいていた。ここには娘・綾乃が父の陣羽織に戦場での無事を祈って刺繍した「あ・や・の」があった場所であった。
名胡桃城事件は、秀吉・昌幸に家康も含めて北条を陥れる巧妙な仕掛けであったのだ。さぁ次巻は北条・小田原征伐。私の予想ではどこかの大名の与力として茂兵衛部隊は最前線で戦うことになるだろう。