流離 吉原裏同心 1

読 書
流離 吉原裏同心 1

光文社文庫 佐伯泰英 著

豊後竹田の岡藩で13石を賜る馬廻り役に生まれた神守幹次郎は家が貧しくて剣の道場に通うことができなかった。7歳の時に旅の老武芸者から薩摩示現流の教えを受けて以後独学で修行を続けてきた。

幹次郎の幼馴染の汀女(ていじょ)は、父親の野村継彦が藤村壮五郎に15両の金を借りて返せなくなり、半ば身売り同然で18歳も年上の藤村の妻となった。嫁して3年後に幹次郎と駆け落ちした。

汀女の方が3歳年上のため、昔から幹次郎には姉さま(あねさま)と呼ばれていたが、2人が連れ添うようになった後もそう呼ばれている。汀女は幹次郎を幹どの(みきどの)と呼ぶ。

また、脱藩後に立ち寄った金沢では、小早川彦内が道場主を務める眼志流居合の道場に通い、示現流の弱点を補う居合術も身につけた。

「流離」題名通りに駆け落ち後に負われる身となった二人が逃亡生活を送ることになる。駆け落ちから九年後の江戸へ出る。

吉原で追手を除いた縁で吉原の四郎兵衛会所の七代目の四郎兵衛と知り合いになり雇われる。幹次郎の仕事は吉原の裏同心(用心棒?)。汀女には吉原に住む遊女たちに句や習字を教えながら彼女達のトラブルの早期発見が役目となる。

早速、汀女が句を教える遊女の俳句から吉原放火事件を未然に防ぐことができる。駆け落ちから吉原にたどり着くまで早くて驚くが読みやすくて面白いので、このシリーズを当分追うことにする。