双葉文庫 千野隆司 著
井上家の菩提寺の「日蓮宗大覚山浄心寺」本堂改築に絡む、正紀・正広廃嫡派の陰謀を阻止した二人は各々藩運営に就いていた。
天候不順により米不足で藩運営は厳しく、高岡藩は農民の税率を四公六民を五公五民に変更する決定をした。もちろん藩士たちにも凶作の負担として禄米(給与)借上(減給)2割から2割五分とした。
これに比較的被害が少なかった飛び地領の武射郡・山辺郡五村に米百五十俵を貸米(追加税)を求めた。
これに反対する五村の百姓は村名主の総右衛門を代表にし、高岡藩代官所へ追加税取り下げのお願いに行くが、代官の大河原常太郎は総右衛門を捕らえてしまう。
この事件の報告を現地陣屋責任者国家老児島丙左衛門は正紀には伝えなかった。五村の百姓たちは、総右衛門がお願いに行っただけで牢に閉じ込められたことに憤慨し、一揆の準備を進める。
ここへ一揆の助勢する怪しい楽太郎が現れる。
一揆は藩を揺るがす事件で幕府は大名の藩運営に疑問を持ち取り潰しなどを処置を取る場合がある。正紀はこの一揆を解決できるのか。
中小企業の次期社長に就任し、親会社や会社幹部から追い落とし工作をやっとの思いで解決したばかりの正紀。今度は、本格的に会社運営問題に取り組む。