先日読売新聞の新潮文庫新刊広告に流転の海最終巻「野の春」発売と出ていた。ブログを見ると2019年二月に八部を読了。単行本を買うか迷うが我慢して約3年、とうとう文庫化された。
広告を見たあくる日に出社を前に大宮の書店に寄って購入。ゆっくり読む気であったが一気に読みきった。何しろ登場人物が多くて、3年前に手書きの相関図を作ったがどこかへ失くしてしまった。ネット調べると主要登場人物は388人と書いてあった。
伸仁は浪人後に大手門学院大学へ入学してテニス部へ入部。アルバイトに家の手伝いと大学生活を楽しんでいる。房江は大阪駅前にあるホテル多幸クラブの社員食堂でやりがいある仕事に励んでいた。熊吾は浮気相手の博美と一緒に住んでいるが清算を考えていた。
第九部は、家族それぞれの過去の回想が多く、この長い小説が終わりを告げるのだと感じた。意外だったのが辻堂が突然登場する。これは父である熊吾の性格を作者「宮本輝」が最後に表現したかったのだろう。
熊吾は精神病院で亡くなる。残った財産は十数万円。小説であるのだからもっと良い終わり方はなかったのかと感じた。
時間があれば、一部からもう一度読み直したい。