還暦624日目。
集英社文庫 帚木 蓬生 著
久留米藩の中心部を流れる筑後川。この川の水を台地に住む百姓は手でくみ上げていた。それを五人の庄屋が財産と命を投げうち大石堰を築いた。それから約六十五年の久留米藩で百姓への増税が通達された。
井上村の大庄屋高松家の次男庄十郎は、百姓たちの蜂起を目のあたりにする。その増税を藩主を説得して押し止めたのは、家老の稲次様だった。庄十郎はこの稲次家老に対面して、稲次家老が書いた掛け軸の「天には星、地には花、人には慈愛」の意味を尋ねた。人の中には百姓も含まれるかと・・・
それから数年して、庄十郎は疱瘡にかかり、一命はとりとめるが母親をなくす。このことで医者を目指す庄十郎であった。
物語りは淡々と進み、イライラしたが、帚木先生の作品は読んだ後に残る作品だ。